Q1.先生に治験を勧められましたが、必ず参加しなくてはいけませんか?
治験にご参加いただくかどうかは、あくまで患者さまの自由意思が尊重されます。医師や治験コーディネーターから治験に関する詳しい説明をお聞きになり、治験の内容を十分理解していただき、参加されるかどうかを決めていただきます。説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰って家族に相談してから決めることもできます。
Q2. 治験コーディネーター(CRC)って何ですか?
新薬における治験の参加条件に当てはまる被験者の方や、治験を行う医療機関、そして新薬を開発する製薬会社など、治験に携わる方々や機関などとの架け橋になるのが「治験コーディネーター(CRC)」です。 被験者の方の中には、不安を抱えたまま治験に参加しようとされる方もいらっしゃいます。そんな被験者の方の身近な相談役となって心配や不安を軽減させながら、最初から最後まで関わり合っていく事になります。 被験者の方の安全と人権を確保し、倫理的な配慮のもとで科学的且つ適正に行われるようにサポートするのも治験コーディネーター(CRC)の役割です。
Q3.治験に参加していて、途中で取り止めることができますか?
治験参加に同意を頂いた後でも、理由にかかわりなく、いつでも途中で取り止めることができます。
Q4. 治験に参加するには自己負担費用がかかりますか?
初診料や再診料は、通常の診療と同じように自己負担になります(健康保険証がある場合、通常の保険診療扱い)。通院のための交通費などは自己負担になります。こうした自己負担を軽減するために「負担軽減費」が支払われる場合が多く、同一医療機関での一般診療と比べて自己負担が少なくなります。治験に参加する意思を示す同意文書にサインした時点から治験薬代や治験に関する検査代は基本的に無料(製薬会社負担)になります。くわしいことは担当医師や治験コーディネーターなどに尋ねてみるとよいでしょう。
Q5.治験に参加した場合、医療費の支払いはどうなりますか?
  • 治験薬と、その治験に関する検査費用は、製薬会社が負担します。
    また、治験薬を使っている期間に行った全ての検査・画像診断料は製薬会社が負担します。
  • 治験に関係ない治療(治験参加前から継続している治療、明らかに治験薬との因果関係のない治療の場合など)に関しては、一般の診療料となります。
Q6.治験に参加するメリット、デメリットは?
<メリット>
  • 治験では、通常の治療より詳しい検査を行い綿密な治療を受ける事ができます。
  • 治験に関連する検査・画像診断料は製薬メーカーが負担します。
  • 治験の為に来院して頂く為、負担軽減費(交通費等の経済的補助)があります。
<デメリット>
  • 副作用が出る可能性があります。
  • 治験期間中は定期的に通院して頂く為、通院回数が多くなる場合があります。
  • 治験期間中は薬の飲み方や生活の仕方など、気をつけて守らなくてはならない事があります。
  • 治験によっては、薬の成分を含まないもの(プラセボといいます)を飲む場合もあります。
Q7.プラセボって何ですか?
薬の成分は入っていないが、被験薬と見た目が同じ偽物のくすり。
Q8.なぜ治験には、有効成分を含まない薬(プラセボ)を使用しなければいけない治験があるのですか?
昔から「病は気から」といわれるように、人の体にはとても不思議な一面があります。乳糖やでんぷんなど有効成分が含まれていないもの(プラセボ)を「新薬ですよ」と参加される方に服用してもらうと、「新しい効果がある薬だ」という思い込みや「薬を飲んだから大丈夫だ」という安心感から、実際には効果のない薬でも、数値で表せない痛みや症状の軽減など、かなりの割合の人の病状が改善されることがわかっています(反対に症状が悪化したり、副作用が出てしまう場合もあり、この点においても人の体は不思議としかいえません)。
またプラセボではなく既存の薬と比較する試験の場合、「既存の薬本来が持つ効果+新薬を飲んでいるかも?という思い込み(一種のプラセボ効果)」か、「新薬本来が持つ効果」なのかがわかりづらくなる可能性を否定できません。
治験薬は、プラセボと比較してはっきりと上回る効果が認められて、初めて「薬」として認められるのです。現在のところ、「プラセボを使用した二重盲検法」が薬の有効性と安全性を科学的に比較する方法として唯一世界的に認められている方法です。
Q9. 有効成分が含まれていないプラセボを服用して症状や具合が悪くなったらどうするのでしょう?
プラセボを用いた治験では、担当する医師にも参加される方にも、新薬あるいはプラセボのいずれかわからない「二重盲検法」で行なわれていますが、担当医師は、「もしかしたら、プラセボを使用しているかもしれない」と常に念頭に置き、「患者にとって好ましくない兆候」が認められた場合は、速やかに治験を中止し、もっとも適切な治療方法に切り替えます(切り替えることが義務付けられています)。
Q10.治験薬は副作用の心配はありませんか?
薬には、病気の症状に応じたさまざまな効果がある反面、好ましくない作用(副作用)もあります。治験では、副作用の可能性をできるだけ少なくするとともに、それが起こった場合に適切に対応できるよう配慮されています。治験開始前には、一般の治療よりも詳しい検査で身体の状態を調べ、現在服用されている薬との併用に問題がないか、ご家族の病歴なども詳しく伺います。そして検査や問診の結果によっては、安全確保の為に治験参加をご遠慮いただく場合もあります。
Q11.副作用が出た場合、どうしたらいいですか?
治験開始前と比べて「おかしいな」と感じたら、すぐに治験連絡窓口へご連絡ください。治験実施医療機関において適切な治療をさせていただきます。
Q12.副作用が出た場合の補償はありますか?
治験に参加したことが原因で健康被害等が生じた場合は、製薬会社が補償することになっています。ただし、明らかに治験薬との因果関係が否定できる場合は、補償されません。
Q13.治験参加期間中に、他の病院にかかることはできますか?
受診する事は可能です。
その場合は、主治医には他科・他院を受診する事をお伝えください。
Q14.現在、治験に参加中ですが、同時に別の治験に参加できますか?
治験薬は、安全性・有効性・飲み方や量などの使い方を調べる為、同時に2つの治験に参加する事は出来ません。
Q15.現在、かかりつけの病院からもらっている薬は、そのまま飲み続けても良いですか?
かかりつけの病院からもらっている薬をそのまま飲み続けても良いかどうかは、薬の種類によっても異なります。「治験薬とは違う他の病気の薬」を服用されている方は、治験薬と併用することにより、その病気の治療効果が損なわれたりするなどの問題がないかどうかをまず確認します。もし、問題があるとすれば、ご参加いただくことはできません。
 また、「治験薬と同じ病気の薬」を服用されている方は、治療の効果が現在の薬によるものなのか、または治験薬によるものなのかわからなくなってしまうため、併用のままご参加いただくことができない場合もあります。
Q16.プライバシーは守られますか?
治験は、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)という法律で、参加する方の人権や安全に関して厳しく定められています。 カルテを含め治験に関する資料は、製薬会社の治験に関係する人や、治験審査委員会、厚生労働省などの、ごく限られた人のみの目に触れる事になりますが、参加する方のプライバシーは保護され、個人情報が外部に出ることはありません。